① 接触感染
病原体がついた手や物(ドアノブ、手すりなど)をさわったあとに、その手を洗わずに、自分の目や鼻、口をさわってしまうと、感染することがあります。

病原体が鼻や口、傷口などから体の中に入って増えることで、症状(熱が出たり、お腹が痛くなったり、
せきやくしゃみが出たりなど、体に起こるいろいろな変化)があらわれる病気のことです。
人の体の中に入って増えることで、病気のもとになる微生物(目には見えないようなとても小さな生物)のことです。
この病原体は、大きさや増え方のちがいによって、いくつかのタイプに分けられます。
例えば、ウイルス(インフルエンザウイルス、コロナウイルス など)細菌(結核菌、O(オー)157等の大腸菌 など)などがあります。
ウイルスや細菌などの病原体が、鼻や口などから体の中に入る。
病原体は、換気が悪い部屋の空気中にういていることがある。
また、自分の手に病原体がついている
ことに気づかずに、目や鼻、口をさわってしまい体の中に入ることもある。
体の中に入った病原体は、のどや肺の中で増えていく。
熱が出たり、せきが出たりすることがある。
| ウイルス | 細菌 | |
|---|---|---|
| 主な種類 | インフルエンザウイルス、コロナウイルス など | 結核菌、大腸菌(O(オー)157等) など |
| 大きさ | 例:インフルエンザウイルス 0.1μm(マイクロメートル) (1マイクロメートルは0.001mm(ミリメートル)のこと、 例えばかみの毛の太さが約70~100マイクロメートル) |
例:結核菌 2~10マイクロメートル ウイルスよりも細菌の方が大きい |
| 特徴 | 1.ウイルスは、細菌とちがって、自分の力だけでは 増えることができない 2.人や動物の「細胞」という小さな部分を使って、 自分のコピーをたくさんつくる 3.そして、そのコピーがまた次の細胞にうつっていく |
1.細菌は、ウイルスとちがって、自分の力で増えることができる 2.感染すると、体の中で「細胞分れつ」というしくみで自分を増やしていく 3.人の細胞に入りこむものもいれば「毒素」という悪い物質を出して細胞をこうげきするものもいる |
| 予防法 | ・ワクチン(インフルエンザ、コロナ など) さまざまな感染症にかかる前に接種(注射)することで、感染症にかからなかったり、感染症にかかりにくくしたり、感染症にかかっても症状を軽くしたりすることができるもの ・手洗い・手や指の消毒・うがい ・せきエチケット ・換気 |
・ワクチン(BCG(結核)、百日咳など) ・手洗い・手や指の消毒・うがい ・せきエチケット ・換気 |
| 主な治りょう方法 | ・抗ウイルス薬
ウイルスが増えるのをおさえるための薬 かぜやインフルエンザなどのウイルスが体の中で増えるのを 防ぐはたらきがある オセルタミビル(インフルエンザウイルス)、レムデシビル(コロナウイルス)など ※細菌を壊したり、増えるのをおさえたりする抗菌薬は ウイルスには効かない ・解熱鎮痛薬(熱を下げたり、痛みをなくす薬)、せきどめやくなど感染症の症状を抑える薬 |
・抗菌薬 細菌を壊したり、増えるのをおさえたりする薬 細菌が体の中で病気を引き起こしたときに使われる ペニシリン系など ・解熱鎮痛薬、せきどめやくなど感染症の症状を抑える薬 |
感染症は、3つの原因がそろったときに起こります。
その3つとは①病原体 ②感染経路 ③宿主です。
感染症を広げないためには、この3つのうち、どれか1つでもなくすことが大切です。

対策:
手洗いや消毒で、病原体をなくす
感染した人の近くに行かないようにする

対策:
換気をして、空気を入れかえる、マスクをつける
汚れた手で目や鼻、口の周りをさわらないなど
病原体が体の中に入らないようにする

対策:
体を守る力(免疫)を高める
(バランスのとれた食事をとり、
しっかり眠って、体を休める)
ワクチンを打つ(予防接種)
感染経路とは、ウイルスや細菌などの病原体が、人の体の中に入ってくる方法のことです。
感染経路には主に①接触感染、②飛まつ感染、③空気感染の3つと、その他にもいくつかの経路があります。
ひとつの病原体でも感染経路が複数あります。主な感染経路は以下のとおりです。
病原体がついた手や物(ドアノブ、手すりなど)をさわったあとに、その手を洗わずに、自分の目や鼻、口をさわってしまうと、感染することがあります。
感染した人のせきやくしゃみによって、病原体をふくんだ小さなつぶが飛びちって、鼻や口のねんまくに、くっつくことによって感染することがあります。
このつぶは1〜2メートルほど飛ぶことがあります。
空気中にういた病原体を、知らないうちに吸いこんで、感染することがあります。
ネズミなどの動物や、カなどの昆虫などから、人に感染します。
感染した人の血液が、鼻や口のなか、傷口(ねんまく)から体の中に入ることで感染します。
自分の健康を守るため、そして、周りの大事な人に感染症を広げないためにも、次の感染対策を心がけましょう!
換気をすると空気の中の病原体を外へ出すことができます。
空気の流れをつくることが大切です。
部屋の反対側にある窓を
2つ以上開ける
窓が1つしかないときは
換気せんをいつもつけておく
とびらを開けておく
せきエチケットで病原体が広がることを防ぎます。
病原体が広がることをある程度防ぐことができる「不織布マスク」がおすすめです。
マスクの素材の中では「不織布マスク」が最もフィルターとしての効果が高いとの研究結果もあります。
「不織布」とは織っていない布のことをいいます。糸などを織ったりせず、熱的、機械的、化学的作用により糸などをくっつけたり、
からみ合わせた薄いシート状の布のことをいいます。
マスクをつける
(鼻や口がマスクから出ないようにする)
マスクがないとき:
ティッシュやハンカチで鼻や口が出ないようにする
急いでいるとき:
服のそでを鼻や口につけて病原体を広げないようにする
何もつけないで
せきやくしゃみをする
せきやくしゃみを手でおさえる
(せきやくしゃみを手でおさえると、その手に病原体がつきます。その手でドアノブや物をさわると、そこも病原体がついてしまいます。病原体がついたドアノブや物を他の人がさわって、その手で目や鼻、口をさわると感染するかもしれません。)
手を洗うと自分の手についた病原体を減らすことができます。
水で手を洗えないときは 「消毒用エタノール」を使って手や指をきれいにすることも大切です。
まず、手を洗う前に
☑ つめは短く切りましょう
☑ 時計や指輪はとりましょう
せっけんをつけたら
手をこすってよく洗う
指の間や手首も忘れずに洗いましょう。
「インフルエンザ」には、いくつかの種類があります。
毎年、秋から冬にかけて少しずつ形を変えながら流行するインフルエンザは「季節性インフルエンザ」と呼ばれています。
これは、みんながよく知っている、熱やせき・くしゃみ、頭が痛くなるなどの症状が出るインフルエンザです。
それに対して「新型インフルエンザ」は、季節性インフルエンザウイルスとは大きくちがう、新しく急にあらわれるインフルエンザウイルスによって起こる感染症です。「新型インフルエンザ」は、だいたい10年から40年に一度発生しています。
インフルエンザウイルスは、人だけでなく、鳥やぶたにも感染します。
たいていの場合、同じ種類の動物の間でうつり、他の動物のインフルエンザウイルスが人に感染することは多くありません。
しかし、まれに鳥などのインフルエンザウイルスの遺伝子が変化(変異)したり、混ざりあったり(再集合)して、
人にうつる新しいウイルスが生まれることがあります。これが「新型インフルエンザウイルス」です。
①鳥インフルエンザのウイルスが人の体の中で形をかえる
②鳥インフルエンザのウイルスと人のインフルエンザのウイルスが同じ人に入って混ざり、新しいウイルスが生まれる
③鳥・ぶた・人のインフルエンザのウイルスがぶたに入って混ざり、新しいウイルスが生まれる
新型インフルエンザなどの感染症は、ふつうのかぜや季節性のインフルエンザとちがって、ほとんどの人が免疫を持っていません。
そのため、いったん発生すると、人から人へと広がりやすく、大きな流行(パンデミック)になるおそれがあります。
そうなると、みんなの命や健康にとって危険なだけでなく、生活や経済などにも大きな影響が出てしまいます。
だからこそ、ふだんからしっかりと準備をしておくことが大切なのです。
免疫とは、体の中に入ってきたウイルスや細菌などの病原体を体の外に追い出したり、やっつけたりする「体を守るしくみ」のことです。
もし感染症危機(感染症が広がって危なくなったとき)が起きたときに、国としてどのような対策をすればよいか、あらかじめくわしい計画を立てています。
この計画は「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」と呼ばれていて、令和6年7月に内容を大きく見直しました。
この新しい計画をもとに、
・ちゃんと入院できるよう病院とあらかじめ約束をする
・必要な検査をすばやく実施できるように体制をつくる
・「国立健康危機管理研究機構(JIHS(ジース))」や海外の政府と協力して、世界でどんな感染症が発生しているか確認する
など、感染症危機が起きたときに備えて、ふだんからしっかりと準備を進めています。
もっとくわしく知りたい人は、下の資料を見てみましょう。
この組織は、感染症危機に、みんなの命や健康を守るためにつくられました。
(つくられた日:令和5年9月1日)
英語名で“Cabinet Agency for Infectious Disease Crisis Management”と表記され、その頭文字をとって「CAICM(ケイクム)」と呼ばれています。
感染症危機が起こったときには、国のいろいろな省庁(機関)やはたらく人たちをまとめて、すぐ行動できるようにする「司令塔(リーダー)」としての大切な役割をします。
みんなが安心して暮らせるように、日ごろからしっかりと準備をして、もしものときにはすぐに対応できるようにしています。
近ごろ、世界のあちこちで開発が進み、人々の生活が大きく変わってきています。そのなかで、例えば、次のようなことが起きています。
こうした理由から、私たちが「新しい感染症(まだ知られていない病気)」に出会ってしまう機会が多くなっているのです。
さらに、今は外国との行き来もさかんになっていて、
もし、どこかで感染症が発生したら、あっという間に世界中に広がってしまうかもしれません。
でも、新しい感染症が「いつ」「どこで」発生するかを前もって知るのはとてもむずかしいことです。
そして、新しい感染症の発生そのものを完全にとめることもできません。
次に感染症危機が起こるときに備えて、みんなの命や健康を守るために、ふだんからしっかり準備をしておくことがとても大切なのです。
「ケイクム」は、国のリーダーである内閣総理大臣をすぐ近くで助ける国の機関です。
「内閣官房」という組織の中にあります。
感染症危機がおこったときには、この「ケイクム」が中心になって、次の仕事をします。
●感染症がこれ以上広がらないように、国がどのような対策をするかを考えます。
●「司令塔(リーダー)」として、国のいろいろな省庁の意見をまとめます。
みんなの命や健康を守るために、中心となって動く大切な組織です。
「ケイクム」は、次の感染症危機のときに、みんなの生活や経済にあたえる影響を小さくするためにふだんからしっかりと準備をしている組織です。 感染症危機が起きたときに、国がどのように動くのか計画を立てたり、計画どおりの対応ができるように訓練を行います。
その仕事は、 『平時(感染症危機が起こる前)』、『有事(感染症が広がって危なくなったとき)』でちがいます。
次に感染症危機が起こったときに、みんなの生活や経済への影響をできるだけ小さくするための準備をしています。
例えば、感染症危機が起きたときに、国としてどのような対策をすればよいか、あらかじめくわしい計画を立てています。
そして、その計画にあわせて、関係する人たちや機関といっしょに訓練も行っています。
この計画のことを、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」といいます。
もしも新たに感染症が広がって、みんなの生活や命が危なくなったときには、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」という法律にそって、国の対策本部がつくられます。
この対策本部では、新しい感染症にどのように対応していくかを国として決めていきます。
その中で、「ケイクム」は、国のいろいろな省庁の意見をひとつにまとめます。
また、感染症についての国のルールや対策を決めるときには、ジースから、科学的な情報や知識をもとにアドバイスをもらいます。
感染症危機が起こったとき司令塔(リーダー)として、物事をまとめる中心という意味の「扇の要」をモチーフに、「未来や知性」、「安全・安心」などをあらわす青色を使用しています。
英語の頭文字CAICM(ケイクム)が土台(支え)となっているのは、平時(感染症危機が起こる前)から「しっかり備えていること」を表しています。
また、色の濃さが違う2つの扇を立体的に重ねていることで、有事(感染症が広がって危なくなったとき)に、扇の要である「ケイクム」が、全体を広い視野でながめつつ、「感染症対策」と「生活や経済」のバランスをそのときに合ったやり方で、すばやく、力強く整えるとの決意を表しています。
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